AIは「魔法」ではない。しかし「武器」である。(後半)~企業がAIを導入すべき理由と“使える状態”の設計~

AIと書かれた剣が、魔法の杖の中央を断ち切っている様子(後半)

目次

「AIを導入したけれど、なかなか業務にフィットしない…」そう感じた時、前回の「問いの設計力」が、課題解決の糸口になるかもしれません。生成AIを使いこなす鍵は、「何を、どうしてほしいのか」を具体的に言語化することです。これができれば、AIはビジネスの強力な武器になります。前半では実際の事例を交えて、その重要性をお伝えしました。

前半:~GPTを使いこなす“問いの設計力”~

AIが「武器」であると理解した上で、次に重要となるのは、その道具を「どう使いこなすか」です。今回は、さらに一歩踏み込み、「問いの設計力」を磨き上げ、AIとの対話をより効果的に行うための具体的なステップとフレームワークをご紹介します。単に情報を入力するだけでなく、AIを「思考のパートナー」として活用するためのヒントがここにあります。

1.  AIは“武器”──スモール業務にも使える「思考の補助装置」

AIは、SF映画に登場するような人型アンドロイドではなく、現場にフィットする「マルチツール」のような存在です。使い方や目的のバランスをうまく合わせることができれば、ドライバーにもなり、ナイフにもなる──そんな汎用性をもった、柔軟で実践的なツールです。

この「マルチツール」としてのAIは、特に中小企業や少人数チームの現場でこそ、本当の威力を発揮します。単なる効率化ツールではなく、「人が手をかけていたけれど、本当は型化できる作業」を“言語”で再設計し、代替する存在──それが生成AI(GPT)です。

● たとえば、こんな“ちょっとした手間が積み重なる業務”ありませんか?
 ・ 毎月届く「お客様の声」をエクセルに整理する作業。
 ・ 売上や進捗、「ひと言コメント」を入れる週次の報告資料の作成。
 ・ 社内ブログやSNS更新のたたき台を毎回ゼロから作成。

これらは、「手間はかかるが、やらざるを得ない作業の例です。そして多くの現場において、「誰かの地道な努力」で成り立っている作業でもあります。フォリウムの「AI導入・活用支援」サービスは、まさにこうした“スキマ業務(微妙な中間業務)の構造を整理し、AIが活用できるよう言語化する支援からスタートします。

● AIの役割=“考える前の下準備”
重要なのは、「すべて任せる」のではなく、「考える前の下ごしらえ」をAIに委ねるという考え方です。生成AIは、最終アウトプットを出すよりも、“素案づくり”や“骨子提示”にこそ力を発揮します。

● たとえば、以下のような活用が可能です:
 ・ 「お客様の声」を“顧客情報・内容・満足度・改善点”に分類してください
 ・ 「週次の報告資料」を、前週から今週にかけての実績、目標達成率のビフォー・アフター形式にし、要因を付けて300文字に要約した上で、ひと言コメントを作成してください
 ・ 過去投稿をもとに「社内ブログ・オフィスの日常」を毎週1本ずつシリーズ化してください

こうした活用は、人間側の負担や迷いを軽減し、意思決定や発信の速度を上げる効果を生みます。使い方を理解して、設計図(=「プロンプト」と言われる指示文)を正しく描ければ、小さな作業でも驚くほどの成果を返してくれます 。

AI導入の本質は、「業務構造の明確化」と「指示の具体化」にあります 。何をAIに任せるかではなく、どんな“問いの出し方”をすればよいか、この部分こそが、今こそ見直す価値のある“業務設計力”なのです 。

2.  AIを使いやすくするためのベース作り

AI導入の土台を作るためには、以下のような「見えづらい業務の前提」の整理が必要です。

 ● 社内用語の整理・標準化:現場で使われている略語や主観的な言い回しを他部門やAIにも伝わる共通の言葉に整えます。(言葉のズレが誤解や判断ミスにつながるため、最初に取り組むべき重要な工程です。)

 ● 業務プロセスの再構成:「どこで誰が何を判断しているか、どの情報が必要か」を見える化し、属人性を減らします。(AIに任せられる業務の見極めには、このプロセスの透明化が不可欠です。)

 ● 問い合わせテンプレートや業務指示の設計:曖昧なやり取りを再利用可能な“問いの形式”に変換します。(たとえば「どんなときに・何を・どう伝えるか」といった問い方を整備することで、AIにも理解しやすい入力の形になります。)

こうした土台が整ってはじめて、「AIに任せるかどうか」の判断が可能になります。
AIは万能ではありませんが、「考える前の整理」や「伝える前の素案づくり」など、意思決定や発信を加速する“思考の補助装置”として大きな力を発揮します。
AI活用を成功させるには、第一に「適切に機能する環境かどうか」の見極めが欠かせません。

● 「使えるか不安」から「使いこなす」へ──求められる“整備力”
特に「この内容、AIに任せられるかわからない」といった不確かな領域に対しては、曖昧さを減らしつつ、現場に無理のない形で整えていくことが欠かせません。具体的には、業務の構造や頻度、判断の背景、現場の心理的負荷まで丁寧に棚卸しを行い、「どこまで整備すればAIに任せられるか」「人の判断が必要か」を検討します。
また、属人的になりがちな判断や運用は、共通言語やテンプレートを用いて形式化することで、「誰がやっても同じように回る」状態を実現することが、業務の安定化と効率化につながります。

● まとめ:AIを導入する前に「業務の整理」から始めよう
AIは「魔法」ではありません。自然に答えを出してくれるように見えても、その実力を引き出すには“問い方”や“使いどころ”の設計が必要不可欠です。一方で、AIは正しく設計された環境においては、現場の判断や情報整理を支援する“思考を助けるツール”として、確かな価値を発揮します。だからこそ重要なのは、「AIをどう導入するか」ではなく、「AIがきちんと働ける状態をどう設計するか」です。すぐに導入するのではなく、まずは業務の構造や判断基準、社内用語といった“前提”を見直し、「何を任せ、何を人が担うか」を明確にすることが出発点です。

フォリウムは、こうした実装前提の整理から支援し、現場で“きちんと使える仕組み”をともに設計するパートナーとしてサポートします。また、特定のツール導入に依存するのではなく、あくまでその業務が「今後も続けられる仕組み」になるよう、プロセスごと設計しなおすBPOサービスを提供します。小規模な取り組みから段階的に改善を重ねていくことで、将来的な活用の幅も自然に広がっていきます。継続的な改善・伴走体制のもと、現場の感覚を大切にしながら質の高い業務へと育てていく──それが、フォリウムの強み、私たちの役割となっています。

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次回は、「あなたの会社のデータは宝の山!~AIが『眠れる資源』を発掘する~」。
「設計されたAI」が力を発揮するもうひとつのフィールド──
「眠ったままの社内データ」に焦点を当てます。

今あるデータを“示唆”に変える視点を、ぜひお楽しみに。

AIは“武器”──「AI全般」と「生成AI」──要点整理表

項目「AI全般」「生成AI/GPT」
主な役割データの解析・分類・予測新たなコンテンツ(文章・画像など)の生成
強み精密な判断・予測・分類柔軟な表現・創造性の支援
適用業務数値処理、監視、分析文章・画像・企画・創造的業務
活躍範囲定型業務、自動化、予測、分析、監視、識別(画像・音声など)まで広範囲に対応。
業務の効率化や精度向上。
非定型業務、企画・発想支援、文章生成、デザイン、説明資料作成など創造的・言語的なタスク。
典型的な対象業務データ入力、需要予測、不良品検知、在庫管理、異常検知、OCR処理、スコアリング、音声認識など。メール文作成、議事録要約、画像生成、マニュアル作成、FAQ生成、企画書草案、キャッチコピー案など。
活用の起点定量データが蓄積されており、繰り返し判断や分類が求められる業務。人間がルールで処理していた業務の代替が多い。「何を書くか」「どう伝えるか」「どんなイメージにするか」など、人によって出力が異なる業務。思考や表現の補助に強い。
本質的な役割「判断の自動化・精緻化」。人間の経験やルールに依存していた判断をデータ駆動で標準化し、予測精度や速度を向上。「創造と表現の支援」。人間の思考を引き出し、補いながら素早くアウトプットを生み出すことができる。
具体活用例製造業:故障予測/小売:需要予測/金融:与信審査/人事:離職予測/物流:配車最適化/コールセンター:音声認識営業:メール・提案資料作成/広報:SNS投稿案・画像生成/管理部門:社内通知・議事録要約/開発:仕様書の下書き
AI導入の本質業務プロセスの標準化・高速化・精度向上。人手を介さずとも安定して意思決定・処理できる業務構築が可能。言語化・構造化の支援。属人化・手待ち・初動の遅さといった「思考・表現のボトルネック」を可視化・補完することに価値。
曖昧業務への対応基本的には苦手。定義が曖昧でデータが揃っていない業務では性能が出づらく、ルールや学習データの整備が必要。得意。あいまいな指示や抽象的な要望に対しても自然言語で応答・たたき台を作成できるため、非構造業務の起点に活用可能。
結論(まとめ)定型業務を自動化・効率化し、標準化と生産性向上を実現する技術。非定型・創造的業務の表現や思考を支援し、初動の質とスピードを高める技術。

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