AI導入で失敗しないために――いま企業が選ぶべきパートナーとは

中央に並び互いに手を取り合っている2体のロボットの様子

目次

AI(人工知能:Artificial Intelligence)の導入は、もはや一部の先進企業だけのものではありません。業種や規模を問わず、多くの企業がAIによる業務効率化や新たな価値創出を模索しています。しかし、「AIを入れても期待通りに使いこなせなかった」「AIを導入してはみたものの、現場で定着しなかった」といった声が、一部で聞かれるのも事実です。

こうした失敗を避けるために重要なのが、「最適な外部パートナー・BPO企業選び」です。そこで、AI導入の意義から直面しやすい課題、そして外部パートナーを選ぶ際のチェックポイントまでを整理し、企業が成功するための視点を紹介します。

1.  AI導入の重要性と、具体的な活用領域

● 現代のビジネスにおけるAIの役割
AI(人工知能:Artificial Intelligence)は、企業における競争力強化と業務変革を実現する技術として、現在、幅広い業種で導入が進んでいます。

AIの主な適用領域としては、以下が挙げられます。
■ 需要予測(予測分析)
小売業や物流業界では、AIによる需要予測により在庫最適化や発注計画の精度が向上。

■ 自然言語処理(NLP)
カスタマーサポートやFAQ対応におけるチャットボットや自動応答エンジン(例:ChatGPT、BERT)などで業務効率化を実現。

■ 画像解析
製造業における製品検査、建設業での危険エリア検出など、AIカメラと組み合わせた不良品検知や安全管理の高度化。

このように、AIは「単なる自動化ツール」ではなく、業務全体を再設計する「業務改革の起点」としての役割を担い始めています。

● AI導入のメリットと期待される効果
AI導入によって期待できる主な効果は、現在においては、以下の3点に集約されます。

■ 業務の自動化・効率化
定型的・反復的な業務をAIに代替させることで、処理時間や人的コストを削減。たとえば、請求書の仕分け、メールの振り分け、音声データの文字起こしなどがAIで処理可能です。日本企業においては、RPA(Robotic Process Automation)とAIの連携による「ハイパーオートメーション」も進行中です。

※AIやRPA、機械学習など複数の先進技術を組み合わせて、業務プロセスを可能な限り自動化・最適化すること

■ 意思決定の高度化
蓄積された業務データや外部情報を分析し、トレンドの把握やリスクの予兆検知を支援。金融業界ではクレジットスコアリングや不正取引の検知など、高度な意思決定の補助にAIが活用されています。

※個人や企業の信用度を数値で評価するシステム

■ 顧客体験の向上
ユーザーの行動履歴や属性データをAIが分析し、最適なタイミング、チャネル、内容でのアプローチを実現(パーソナライズドマーケティング)。大手ECサイトや旅行予約サイトでは、レコメンドエンジン※1やダイナミックプライシング※2の要としてAIが機能しています。

※1ユーザーの行動履歴や嗜好を分析し、そのユーザーに最適な商品やコンテンツを自動的に提案するシステム
※2商品やサービスの価格を需要と供給の状況に応じてリアルタイムで変動させる仕組み

これらのように、効果を最大限に引き出すには、AI導入を「単なるツール導入」ではなく、「業務プロセスの再設計」や「組織文化の変革」と一体で推進する必要があります。AI活用を経営戦略レベルにまで引き上げることで、初めて投資対効果を最大化できます。

>>株式会社フォリウムのBPOソリューション AI導入・活用支援

2.  AI導入の加速と、その裏に潜む壁

● 進化するAI、広がる導入
IBMが2024年初頭に発表した調査によれば、世界20カ国の大企業(従業員1,000人以上)において「AIを積極的に導入している」と回答した割合は42%、「積極的に検討している」が40%という結果でした。また、導入あるいは検討している企業のうち、59%がこの2年間でAI投資や導入を加速しているとされています。

この背景には、クラウドベースのAI APIやAutoML(自動機械学習)の進化があり、専門的な知識がなくともAIを業務に取り入れやすくなったことが挙げられます。さらに、製造現場や車載機器などでは、リアルタイム処理が可能なエッジAIの採用も広がりつつあります。しかし、こうした技術の普及とは裏腹に、実際の導入・定着にはさまざまな壁が存在します。

● AI導入の三大ハードル
■ 技術的課題
導入時にまず直面するのが、データ品質と前処理の煩雑さです。AIの性能は「入力されたデータの正確さ」に大きく左右されるため、整備されていないデータでは期待通りの成果を出すのは難しいと言えます。また、モデルの精度維持や運用中の性能劣化(モデルドリフト)への対応も継続的な課題です。

>>フォリウムのデータ収集・活用支援

■ 組織的課題
多くの企業では、現場とIT部門との連携不足や、PoC(概念実証)にとどまり本番運用に進めない「PoC止まり」現象が見られます。さらに、AIの定着には専門人材の確保が不可欠ですが、人材の獲得競争が激化しており、内製化のハードルは、依然として高いままです。

■ コスト面の課題
初期導入に必要なツール、クラウド計算資源(AIなどの処理を行うために、インターネット経由で提供される計算能力やストレージなどのインフラ資源)、外部委託費用に加え、データ整備や継続学習にかかる運用コスト(TCO)が見えづらいという点も課題のひとつです。また、ROI(投資収益率)を正しく評価することは、単なるコスト削減だけでなく、業務品質向上や新たなビジネスチャンス創出にもつながります。導入効果を業務プロセス全体の見直し効果として捉える視点も必要です。

こうした技術・組織・コストの各課題は、「自社内で完結するには限界がある」という事実を示しています。多くの企業が、AI導入を成功に導くために、外部パートナー・BPO企業の専門性と支援体制に期待を寄せる理由もここにあります。

3.  なぜ外部パートナーが必要なのか?

● 社内で全てを完結させるリスク
AI導入には、以下のような多段階かつ専門性の高い工程が求められます。

✓ 要件定義(課題の明確化とユースケース選定)
✓ データ整備(収集、前処理、アノテーション)
✓ モデル構築(アルゴリズム選定、学習、評価)
✓ 運用設計(MLOps、継続学習、ガバナンス)

これらすべてを社内リソースで担おうとすると、「人材不足」「技術ギャップ」「プロジェクトの遅延」など複数のリスクを抱えることになります。特に、データ準備フェーズでの属人化やノウハウ不足は、AIモデルの精度に直結する重大なボトルネックになりかねません。

● エキスパートの知識と経験を活用することのメリット
AI活用に長けた外部パートナー/BPO企業を活用することで、以下のような具体的なメリットが得られます。

▷ 成功事例に基づく再現性のある設計
BPO企業はさまざまな業界やユースケースに応じた導入パターンを保有しており、初めてのAI導入でも失敗しにくいフレームワークで進行することができます。

▷ 短期間でのPoC実施と実効性評価
目的に沿った検証計画とデータ準備を迅速に行うことができ、数週間単位で成果の有無を見極める「スモールスタート」が可能になります。

▷ 成果の見える化と改善支援
KPIや精度指標のモニタリング、ダッシュボード化、定期報告体制の構築まで、BPO企業なら一貫で支援することができ、自社内への展開や経営層への説明も容易になります。

特に、初めてAIを導入する企業や、データ整備が不十分な組織にとっては、「まず任せられる体制がある」こと自体がプロジェクト成功の重要な前提条件となります。実行力と柔軟性を備えた外部パートナー・BPO企業の支援は、AI活用の実現性を大きく高める鍵と言えるでしょう。

>>株式会社フォリウムのBPOソリューション AI導入・活用支援

4.  外部パートナー選びのチェックポイント

AI導入を成功させるには、「誰と進めるか」が極めて重要な判断軸になります。特にAIプロジェクトは、要件が抽象的だったり、途中で仕様変更が発生したりと、従来のIT導入とはまた別の視点の柔軟性が必要になります。そのため、価格や実績だけでなく、「どれだけ自社にフィットした支援体制があるか」を総合的に見極めることが重要です。

以下は、外部パートナー・BPO企業の選定時に確認すべき主なポイントです。

チェックしたい項目具体的なチェック内容
対応範囲の広さ単なる開発支援ではなく、要件定義・データ整備・検証・運用定着まで、一貫して伴走できる体制かどうか。
コミュニケーション力プロジェクトの透明性とスピード感を左右するため、以下のような体制が整っているかを確認。

・定例会議・共有ドキュメントの習慣化
・レポートやKPI共有の標準化
・進捗や課題を早期に共有できる関係性が築けるか
柔軟な契約・価格体系AI導入は段階的に検証と改善を重ねるプロジェクトが多いため、以下を評価ポイントにする。

・小規模PoCから段階的なスケールアップに対応可能か
・工数変動や仕様変更時の対応ルールが明確か
・成果に応じた柔軟な価格設定が可能か

● 信頼できるパートナーかどうかを見極めるには
これらの項目は、単なる「サービス提供の範囲」ではなく、その企業がプロジェクト成功を「自分ごと」として関与できるかを測る指標でもあります。対応範囲が広く、かつ柔軟な提案ができるBPO企業は、導入後の「本当の価値創出」にもつながる存在になりえます。

特に、初めてAI導入に取り組む企業にとっては、業務への適用イメージを言語化し、必要なリソースを具体化してくれる通訳的な役割を果たしてくれるパートナーがいると安心です。

5.  フォリウムによるAI開発・活用支援──その特徴と活用例

AIプロジェクトの成否は、アルゴリズムやモデルだけではありません。むしろ重要なのは、「AIを使える状態にするための土台づくり」です。

フォリウムでは、AI開発・活用の現場で不可欠となる大量データの収集・加工・アノテーションなど、プロジェクトの初期・中間工程を支えるBPOサービスを提供しています。具体的には以下のような特徴があります。

▷ 教師データ作成(training data/アノテーション)の実績と品質管理体制
AIの精度を左右するアノテーション業務を、大規模体制で対応。セキュアな仮想デスクトップ環境とマルチチェック体制により、精度と再現性を確保しています。

▷ 調査設計・データ整備・マスタ統合まで対応
「AIに学習させる前段階のデータが整っていない」といった課題に対し、設計段階から並走し、業務設計と実装支援をセットで提供できます。

▷ 柔軟なスケール対応・小ロット受託
スモールスタートから大量データ処理まで対応可能な運用体制を整備。突発的なデータ量の変動や仕様変更にも柔軟に対応できる点が、多くの企業から支持されています。

● 例えば、以下のような活用も考えられます

【業種:保険会社 × 契約業務とカスタマーサポートのDX】

例えば保険会社の場合、契約処理や顧客対応にかかる時間と人員負荷は年々増加しています。そこで、業務効率化と顧客満足度の向上を目的に、AI技術を活用した以下のような取り組みを実施することが可能です。

【活用するAI技術の一例】
● AI-OCR(文字認識AI)
紙やPDFで提出される保険申込書、請求書、証券情報などをAI-OCRで読み取り、自動的に顧客情報や契約条件を抽出・登録。

⇒書類パターン別の読み取り項目の定義化、OCR精度向上のためのアノテーション業務も対応。

● AIチャットボット(顧客対応の自動化)
保険内容の確認、契約内容変更、解約手続きなどについて、チャットボットが対応。

⇒導入から問い合わせ履歴のデータクリーニングや分類、ボットの学習精度を高める支援も対応。

● AIによるデータ収集・分析(商品開発・営業支援)
問い合わせのログやアンケート、SNS投稿などから、顧客の不満・期待・傾向をAIが分析し、新商品開発やキャンペーン企画に活用できる。

⇒自由記述データの前処理やトピック分類、レポート生成の対応。マーケティング部門への包括的な支援も可能。

このように、紙・人・データが絡む業務は、AI活用によって効率化と価値創出を同時に進めることが可能です。フォリウムでは、AIの土台となる教師データの作成から、導入後の業務運用支援まで、幅広く対応しています。

● AI導入前の情報整理から、実務支援まで

AI導入は、単なる技術選定ではなく、「業務のどこに、どのように活かすか」という設計が重要になります。フォリウムでは、初期検討段階からのご相談にも対応しており、業務に合ったスモールスタートの提案も可能です。

AI導入の漠然としたお悩みから、具体的なPoCの進め方まで、貴社の状況に合わせた最適なご提案をいたします。

まずは、お気軽にお問い合わせください。
「こういう業務でもAIは使える?」「データが整っていなくても大丈夫?」といったご相談も歓迎しています。

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