プロンプト講座 第2回:ビジネス編
目次
AIを使いこなす“問いの設計力”──「プロンプト」の基礎からはじめよう
1. はじめに
第1回では、プロンプトを「AIとの思考インターフェース」として捉え、構成要素や型の使い分けを学びました。今回は、いよいよ「業務でどう活かすか」という実践編です。
生成AIの活用は、単なる“自動化ツール”ではなく、思考の整理・伝達の加速・判断材料の創出にもつながります。一方で、情報漏洩のリスクや誤解による判断ミスなどの注意点もあります。
ということで第2回では、以下の2点を解説します:
・ビジネス現場でのプロンプト活用例
・業務活用時に気をつけるべきポイント(情報管理など)
2. 実務活用編:プロンプトは“仕事の質とスピード”を変える
生成AIの本領が発揮されるのは、日々の“業務の中”にあります。
たとえば、会議後の要約、メール文の作成、アイデア出しやリサーチの下書きといった作業は、ビジネスパーソンにとって毎日のように発生するもの。こうした反復的で時間を取られがちな業務を、プロンプトによって“瞬時にかつ高品質に”こなせるようになると、仕事の生産性と思考の質の両方が一段階上がります。
ここでは、実務での代表的な活用シーンと、それに対応するプロンプト例を紹介します。
まずは、業務での「使いどころ」のイメージを持ちながら、自分の業務にどう落とし込めるかを考えてみてくださいね。
活用カテゴリ別・業務への適用例
| 活用カテゴリ | 具体例 | プロンプト例(抜粋) |
| ① 情報整理・要約 | 会議メモや報告書の要約 | 以下の議事録を、意思決定内容と今後のアクションに分けて要約してください |
| ② アイデア創出 | 商品企画・改善提案 | [製品名]について、顧客体験を向上させるアイデアを3つ挙げてください |
| ③ ナレッジ共有 | 教育・FAQ生成 | 新入社員向けに、営業部の業務フローをステップ形式で説明してください |
| ④ 文書作成 | 社内通知・お礼メール | 社内向けに、[施策名]について周知するメールをビジネス文体で作成してください |
「最初の一歩」であるプロンプトを使いこなすことが時間短縮の鍵。
その真価は単なる「時短」に留まりません。プロンプトによって創出された時間で、人はより本質的な思考や判断に集中できるようになります。
さらに、曖昧な思考を言葉にするプロセスは、チーム内での共有を円滑にし、意思決定のスピードを劇的に向上させます。
プロンプトとはもはや単なる便利ツールではなく、「個人の思考をチームの推進力へと変える装置」なのです。
3. 注意点編:AI活用時の3つのルール
一方で、生成AIは便利ですが、「万能ではなく、公開空間でもある」ことを意識しましょう。以下の注意点は、業務利用においてとても重要です。
✓ ① 個人情報・機密情報は扱わないことを心掛ける
例:名前、電話番号、メールアドレス、社内システムの構成、機密資料のそのままのコピーなど
→ ChatGPTなどのサービスはクラウド上で動作しており、基本的に入力内容は学習には使われませんが、社外環境である以上「秘匿性の高い情報は入れない」ように気を付けることが重要です。
✓ ② 特定の人物や評価が絡む内容は避ける
例:「〇〇さんの人事評価をどうするか」など
→ AIは個人の人格評価には不向き。客観的かつ正確な評価に必要な情報の欠如や誤った推論、定性的要素など、正確な理解・判断が難しい領域もあります。「評価項目の観点整理」などの構造支援に活用しましょう。
✓ ③ 判断をそのまま鵜呑みにしない
例:「この製品は買うべきか?」のような最終判断
→ 出力内容は参考意見の1つ。AIは判断に必要な「背景」や「意図」を完全には把握できません。事実確認・責任判断は人間が担う前提で使いましょう。
4. シーン別プロンプト応用例(ビジネス部門別)
「自分の部署や業務には、どう使えるのか?」──このパートでは、営業・人事・企画・管理など、部門別にプロンプトの使い方をパターン別に紹介します。
生成AIを業務に活かす際に大切なのは、「言語化したいもの」と「その伝え方」を明確にすること。プロンプトをうまく使うことで、ふだん言葉にしていない考え(=暗黙知)を言語化でき、組織の中に埋もれていた知恵や経験があらためて活かされるようになります。
部門別:プロンプト活用シーンと例文
| 部門 | 活用シーン | プロンプト例 |
| 営業 | 提案文書作成 | [製品A]の特徴を、[業界X]の課題と絡めて提案文を作成してください |
| 人事 | 採用広報文作成 | [自社の魅力]を学生向けにわかりやすく説明するリクルート文を作成してください |
| 企画 | 顧客インサイト抽出 | 以下のアンケート結果から、ニーズの傾向を3点に要約してください |
| 管理 | 社内規程の要約 | 以下の労務マニュアルを、現場社員が理解しやすいように300字で要約してください |
「あの作業、AIに任せられるかも?」これが始まりのサインかもしれません。
たとえば、営業なら「顧客ごとの表現最適化」、人事なら「社内施策の伝え方」、企画なら「構想のたたき台づくり」など、それぞれの”業務に適したプロンプト”が組み込まれると、業務の質とスピードが一気に変わる可能性があります。
5. BPOとの連携によって大きく強化される“AIの価値”
わたしたち自身も日々の業務で、その重要な問いをもとに、生成AIとBPOを組み合わせたハイブリッド運用を実践しています。
使い続ける中で実感しているのは、「AIを導入すること」もさることながら、AIをきっかけに業務全体の流れを見直し、BPOを活用した形に設計し直すことが、最終的な成果やスピードに大きく好影響をもたらすということです。
| 領域 | AIの役割 | BPOの役割 | BPOがあることで高まるAIの価値 |
| カスタマーサービス | 分析結果を要約し主要指標や傾向を抽出、可視化。 | 分析結果をもとにレポート全体の構成を再設計し、読み手(経営層・現場など)ごとに訴求ポイントや優先順位を調整。具体的なアクション提案や背景説明を加え、資料として即活用できる状態に仕上げる。 | AIのまとめから一歩進み、「すぐに動ける意思決定資料」に進化。時間的ロスを削減し、経営判断や現場施策が迅速化。 |
| ナレッジマネジメント | 社内文書・議事録・マニュアルを横断検索し、関連情報を即時提示。 | 膨大な社内文書を整理・タグ付け・重複排除し、検索クエリに応じたヒット率と正確性を高める。情報の更新管理も行い、常に最新かつ有効なナレッジが維持される状態を確保。 | AIが返す回答の精度・信頼性が向上し、「探す時間が大きくさらに短縮」の社内ナレッジ基盤が構築される。結果として、業務の属人化解消や教育コスト削減につながる。 |
| 契約書レビュー | 条項を解析し、リスクや重要点を抽出。過去事例や法改正とも照合。 | 契約類型や業界慣習に基づく追加チェックを実施し、AIの抽出内容を現場状況に沿って補足。必要に応じて過去の交渉履歴や契約実績を反映させ、修正提案を付け加える。 | AIが示すリスク指摘が、実務に耐える「提案付きレビュー」に昇華。弁護士や法務部門への依頼前に精度が高まり、確認工程のスピードと確実性が向上。 |
| マーケティング分析 | 広告・Web解析データを統合し、効果測定や改善案を生成 | 分析背景や過去キャンペーンの成果・失敗要因を統合し、改善案の優先度付けや現実的な実行プランに落とし込む。結果として、施策の即時展開が可能に。 | AIが作成した改善案が「次の一手」に直結する実践的提案に変わる。データ解釈のブレが減り、マーケティング施策の成功率向上につながる。 |
AI活用は“業務再設計”のトリガー
生成AIは業務プロセスを可視化し、役割を再定義する起点になります。 BPOと組み合わせて以下のようなPoC(概念実証)を行うことで、特定の顧客や業務に限定されない汎用的な価値が、さまざま生まれます。
【汎用的な価値の例】
●業務スピードの底上げ
AIによる即時出力とBPOによる最終仕上げ・運用管理を組み合わせることで、手戻りを削減し全体の処理速度を向上。
一例:マーケティング分析では、AIが効果測定レポートを生成し、BPOが訴求ポイントを整理して即日経営会議に提出。
●品質の標準化と安定化
AI成果物にBPOが品質基準や業務ルールを適用することで、誰が関わっても一定以上の精度・一貫性を維持。
一例:カスタマーサービスでは、AIが抽出した顧客満足度データをBPOが再構成し、全拠点で統一フォーマットのレポートとして配布。
●人材の付加価値業務への再配置
単純・定型作業をAI+BPOに任せることで、社員は顧客対応や戦略立案など高付加価値領域に時間を投資可能。
一例:契約書レビューでは、AI+BPOが一次チェックを完了させ、法務担当者は複雑案件や交渉戦略立案に集中。
●ナレッジの形式知化・再利用促進
BPOがAI成果物を整理・タグ付けし、情報を資産化することで社内外での再利用が容易に。
一例:ナレッジマネジメントでは、AIが生成したQ&AをBPOがカテゴリ分け・タグ付けし、全社ナレッジベースに蓄積。
●属人化の解消と引き継ぎ容易化
AI+BPOによるプロセス化で、業務知識やノウハウが個人に依存せず、異動・退職時のリスクを低減。
一例:カスタマーサービス対応マニュアルをAIが自動作成、BPOが整備して共有し、新任スタッフでも即対応可能に。
「AIをどう使うか」は、「人の時間をどう活かし、役割をどう再編成するか」に直結します。私たちが社内で取り組んでいるように、生成AIとBPOを組み合わせて「業務の仕組み」を作り変えることは、単発の改善に留まらず、継続的な成長を支える運用モデルを生み出します。
もし「この業務も仕組みから見直せるかもしれない」と感じたら、まずは小さなPoCからでも構いません。一緒に、AIとBPOがそれぞれの強みを発揮できる形で、皆さまの業務を次のステージへと引き上げていきましょう。
次回予告:プロンプト講座【第3回:応用編】
「もっと的確に、もっと深く」──AIの出力精度を最大化するプロンプト設計法を学びます。情報の整理方法・考察の切り口の明示・改善プロセスなど、業務プロンプトを“使いこなす”ステージへ。テンプレ改善や営業以外の実践的な活用例もご紹介します。業務を加速させる「プロンプト力」を手に入れましょう!
最後までご覧いただきありがとうございます。
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