商品管理からUX向上まで、ECサイト運営のお悩みを解決するBPO活用術

目次

日本のBtoCにおけるEC市場は、2023年に24.8兆円に達し、EC化率も9.38%と上昇傾向にあります(※1)。EC市場の拡大が続く一方で、顧客を集めるためのコストが上がり、競争は激しくなっています。ECサイト運営の現場では、技術の進化にも対応しなければなりません。こうした状況下で成果を出し続けるには、ECサイトの運用プロセスを見直し、外部パートナーをうまく活用することが一つの方法です。

今回のコラムでは、ECサイト運営における主な課題を整理し、それを乗り越えるための基本事項や外部委託のメリット、さらに委託先を選ぶ際のポイントについて解説します。加えて、株式会社フォリウムが提供する「EC・メディアサービス」の導入事例を交えながら、実践的なヒントをお届けします。
(※1 経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」より)

1. ECサイトの現状と課題——市場拡大と競争激化の裏側で

日本のBtoC向けEC市場が右肩上がりで伸びている一方で、成長の裏には競争激化、技術革新の加速、運営体制の複雑化といった、さまざまな課題が挙げられます。特に中小規模の事業者にとっては、運営負荷の増大とリソース不足の課題が深刻化しています。

●現在のEC市場の動向とトレンド
スマートフォンを使った購入が主流となり、Z世代を中心にSNSと連動したショッピング体験が得られる「ソーシャルコマース」が成長しています。AIによるレコメンドエンジンや、フロントエンドとバックエンドを分離して柔軟に構築できる「ヘッドレスコマース」など、テクノロジー面の進化も目覚ましいです。さらに、アジアを中心とした越境ECのニーズも高まっています。

●企業が直面する主な課題とは
EC市場の拡大と並行して、事業者が抱える課題も多様化・深刻化しています。たとえば、新規顧客を獲得するための広告費は年々上昇しており、コストをかけてもリピート購入やLTV(顧客生涯価値)の最大化が難しいという声が増えています。

競合との価格競争や差別化も課題の一つです。取扱商品が増えればSKU(在庫管理上の最小の品目数を数える単位)管理の手間が増え、サイトの商品情報の整理や更新作業、在庫管理の負担も高まります。UX(サイト内でのユーザー経験)に対する消費者の期待値も上昇しており、表示が遅れただけで離脱されることは十分予想されます。

特定商取引法や景品表示法といった法令の改正や、個人情報取り扱いにおけるセキュリティへの対応も極めて重要です。これらすべてが、ECサイト運営における負荷として、企業のリソースを圧迫しています。

●課題が生じる背景とその影響
外出制限のあったコロナ禍に急拡大したEC需要は、現在も高い水準で維持されています。消費者は「早く届くこと」「価格が安いこと」「安全に購入できること」を“当たり前”ととらえるようになりました。その結果、少しでも問い合わせ対応が遅れたり、サイトを使いにくいと感じた際は、レビューやSNS上で否定的な口コミが広がり、企業への信頼の低下や売上への影響が懸念されます。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、日常の問い合わせ対応やサイト改善も含めた継続的な運用管理が欠かせません。

2. ECサイト運営の課題を克服するための4つの基本事項

EC市場において成果を上げるためには、日々の運用を支える基本的な取り組みが欠かせません。ここでは、押さえるべき4つの重要な視点について解説します。

【1,商品管理の精緻化】
まず基本となるのが、商品情報の正確性と管理の強化です。購入に直結する画像やスペック、バリエーションなどの情報は、常に最新かつ豊富であることが求められます。また、価格改定や競合価格のモニタリングを定期的に行うことで、価格競争の中で優位性を保つことができます。

<事例>
フォリウムでは年間50万SKUを超える商品登録実績を持つ専門チーム(約30名)を擁し、商品情報の収集から画像加工、価格比較までを一貫して対応。表記ゆれが改善されたことで、ECサイトの売上が上昇した事例があります。

>>株式会社フォリウムのBPOソリューションサイト>>BPOサービス EC・メディアサービス>>【支援事例】幅広い支援が効果的な施策を生み出し、売り上げ増加に貢献

【2,データ分析の活用】
データに基づく意思決定も重要です。アクセス解析と購買データを統合し、在庫回転率やコンバージョン率などを可視化することで、現状を正確に把握できます。AIやデータ収集・分析(BI)ツールを活用すれば、需要の予測やパーソナライズ施策もスピーディに実施でき、効率的なPDCAサイクルを構築できます。

【3,UX(サイト内でのユーザー経験)の向上】
ユーザーの離脱を防ぎ、購買意欲を高めるためには、優れたUXの提供が欠かせません。モバイル利用を想定した画面設計や、高速で表示されるページはもちろん、検索機能やレコメンドの精度向上、カスタマーレビューの活用も重要なポイントです。また、カゴ落ち対策としてのリマインド施策や、リアルタイムで対応できるチャットボットの導入も、購入率を高める有効な手段です。

【4,マーケティング戦略の見直し】
集客と顧客維持(リテンション)を両立させるためのマーケティング戦略も再構築が必要です。SEO、広告、SNSなど各チャネルを組み合わせ、ターゲットごとに最適なチャネルミックスを設計することで、効果的なプロモーションが可能になります。

3. ECサイト運用を外部委託する3つのメリット

●効率化と競争力強化のヒント
EC業界では「いかに早く・正確に・効率よく」運営できるかが成果に直結します。自社だけで運営体制を整える場合、多大な人材、コスト、技術対応力が求められます。そのためECサイト運用の外部委託は、多くの企業にとって現実的な選択肢となっています。弊社の実例を交えながら、ECサイト運用を外部委託することで得られる主な3つのメリットをご紹介します。

▶ メリット1 運用ノウハウと最新技術の活用
外部委託の最大の魅力は、社内では持ちにくい運用ノウハウ(※図1)や最新技術へのアクセスが可能になることです。

<事例>
フォリウムでは、AIを活用した商品登録自動化により、従来の工数の約80%を削減。商品登録だけでなく、価格調査、販促メールの設定、さらには電話確認といった周辺業務までワンストップで対応する体制を整えています。

外部委託の利用によって、企業は煩雑な運用業務から解放され、マーケティング戦略や商品開発などの“本来注力すべき業務”に集中できるようになります。

※図1:フォリウムが提供するECサイト運用におけるBPOサービス

▶ メリット2 リソース効率化によるコスト最適化の実現
外部委託は、リソースを効率的に配分し、全体的なコスト最適化を実現できる有効な手段です。社員教育・育成の負担軽減や固定費の変動費化によって、より効率的なコスト管理が可能になります。
弊社のBPOサービスでは、繁閑に応じて柔軟に業務量を調整でき、少ない工数や小ロットでの依頼にも対応しているため、必要な時に必要なだけ委託することができます。

▶ メリット3 最新トレンドへの迅速な対応
ECサイト運営では、法改正への対応や新たな販売チャネルの創出といった「変化への即応力」が求められます。たとえば景品表示法や特定商取引法の改正に伴う価格表示の一括更新など、スピードが必要な対応を外部パートナーに任せることで、ミスや遅延のリスクを最小限に抑えることが可能です。

4. 失敗しない委託先選びのポイント

ECサイト運用を外部委託する際、「誰に任せるか」はとても重要です。ただ安価な業者に依頼するだけでは、思わぬトラブルを招くリスクもあります。信頼できる委託先を選ぶためのポイント、そしてフォリウムが選ばれる理由をご紹介します。

●パートナー選定で押さえるべき3つの基準

1. 実績と対応力
年間数万SKU以上の商品登録実績があり、広範囲の業務委託をカバーしている業者であることが望ましいです。対応実績が乏しい場合は運用ノウハウの蓄積が不十分で、運用体制の構築まで時間を要する可能性があります。さらに委託可能な範囲が限定的な場合は状況に応じた委託範囲の拡大ができず、業者の再選定を迫られることも考えられるため、委託可能範囲の広さも業者選定の上で重要です。

2. 情報セキュリティとBCP体制
情報漏洩が事業にもたらす影響は甚大であり、最悪のケースでは事業存続そのものが危ぶまれる事態に陥る可能性があります。同じく事業に深刻な影響を及ぼす可能性を含むものとして、自然災害、システム障害、感染症の流行などが挙げられます。個人情報の保護体制やBCP(事業継続計画)体制の確立は、忘れずに押さえておきたいポイントです。

3. 人材の安定性とナレッジの蓄積
委託先のサービス品質を事前に測る材料の1つに、委託先の正社員比率・離職率が挙げられます。担当者が定着することでナレッジやノウハウの蓄積にも繋がるため、安定したサービス品質が期待できます。

●フォリウムが選ばれる理由

1. 実績と対応力
フォリウムは、大手企業を含む多くのECサイト運営を支援し、年間50万SKU以上の商品登録を行ってきた実績があります。商品管理にとどまらず、運用フローの設計から品質管理まで一気通貫で対応できるのが特長です。

2. 情報セキュリティとBCP体制
フォリウムは、JIS Q 15001に準拠した個人情報保護プログラムを制定し、Pマーク(個人情報の保護体制に対する第三者認証制度)を取得しています。加えて、機密性を保つための個室ブースの設置や、災害時にも業務を継続できるBCP(事業継続計画)体制も整えています。

3. 人材の安定性とナレッジの蓄積
正社員比率85%以上という業界トップレベルの水準を維持しています。スタッフの離職率も非常に低く、業務知識やノウハウが蓄積されているため、クライアント企業への安定した品質提供につながっています。担当者が頻繁に入れ替わることで発生しがちな品質のばらつきがない点がフォリウムの強みです。

●委託契約前に確認しておきたいチェックポイント

項目内容チェックの目的
SLA(サービス品質保証)商品登録件数、納期、エラー許容率などの基準が明文化されているか品質・納期に関する期待値を明確化し、トラブルを防ぐため
運用フロー・マニュアルの共有現在の業務プロセスや役割分担をドキュメントで共有できるか作業の属人化を防ぎ、誰でも対応できる状態にするため
定期的なレビュー体制定例ミーティングやレポートによる進捗確認の機会があるか認識ズレの早期発見と、継続的な改善のため
コミュニケーション頻度の確認担当者との連絡頻度や対応時間が合意されているか必要なタイミングでの確認や相談が可能な体制を整えるため


●成功事例

<事例1:小売・流通系EC企業>
課題)商品情報が不十分で表記ゆれが多く、競合サイトと比べて商品登録数が大幅に劣っていた。
対応)専用サーバーと執務エリアを構築し、本番環境までの登録作業を一括で対応。運用の精度とスピードを両立させ、表記ゆれを徹底的に解消した。
成果)売上施策では目標比296%の成果を達成。全体プロジェクトの達成率も80%超と大幅な改善を実現しました。

<事例2:電子書籍プラットフォーム>
課題)業務が属人化しており、担当者の育休によって引き継ぎが困難に。業務全体がブラックボックス化し、教育コストが膨らむ懸念もあった。
対応)業務フローとマニュアルを整備し、チェック体制とツール運用を標準化。誰が担当しても同じ品質で業務が進められる体制を構築した。
成果)ナレッジが社内に蓄積され、教育負荷の軽減とともに業務範囲も拡大。属人化の解消に成功しました。

ECサイト運用を外部に委ねるという選択は、単なる「省力化」ではなく、「成果を最大化するための体制強化」です。実績・体制・人材という観点で信頼できる委託先を選ぶことで、自社の成長フェーズに応じた柔軟な運営が可能になります。

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