“似て非なる”事務とバックオフィス。その違いを知り、業務の最適化を実現

目次
「バックオフィス業務」といえば、経理や人事、総務など、企業の運営を支える裏方の仕事をイメージする方が多いかもしれません。一方で「事務」は日常的なデータ入力や資料作成、備品管理など、定型的な業務を想像されると思います。この2つは似ているようで、実際にはカバー範囲が異なり、企業によっては明確に区別しにくいケースもあります。
「事務」と「バックオフィス」の基本的な定義や役割の違いを整理しながら、それぞれを最適化できるアウトソーシング(BPO)の活用法を解説します。実際に株式会社フォリウムが支援している事例もご紹介しながら、最適なバックオフィス構築に役立つ視点をお伝えします。
1. 業務の土台を支える二つの役割 ~事務とバックオフィスの違いとは
●事務の定義とその役割とは
「事務」とは、日常業務の中で発生する定型作業を担当するポジションを指すことが多いです。具体的にはデータ入力、書類作成、請求書や見積書などの文書管理、顧客への連絡や受付対応など。比較的ルーチンワークとなる業務がメインといえます。業務遂行にあたっては、正確さや事務処理能力、細かな調整力が必要になります。
●バックオフィス業務の定義とその役割とは
一方で「バックオフィス」は、企業の経営・運営を支えるあらゆる部門・機能を包括的に指す言葉として使われています。代表的な例としては経理や財務、人事、総務、法務、ITサポートなどが挙げられます。これらの部門は直接的に「売上をつくる」わけではないものの、企業の運営基盤を作り、事業活動を円滑に行ううえで不可欠な役割を果たします。
●共通点と相違点
【共通点】
■どちらも企業運営を支える「縁の下の力持ち」的な役割
■正確な処理能力や細かな配慮、調整力が求められる
■売上に直接関与しないが、業務の円滑な遂行に不可欠
【相違点】
●事務の場合は…
■主に日常業務におけるルーチンワークを担当
■例:データ入力、文書作成、電話・来客対応、ファイリングなど
決められた手順で正確にこなすスキルが重要
●バックオフィス業務の場合は…
■経営や事業運営を支える管理部門を広くカバー
■例:経理・財務(予算管理、決算処理)、人事(採用、労務管理)、総務、法務、情報システムなど
■法的知識や専門スキルが求められる場面も多く、業務範囲も広い
事務が日々のオペレーションを中心にカバーするのに対し、バックオフィスは管理業務や専門業務など、より広範かつ複合的な業務を扱うことが多いです。たとえば人事部門の採用業務や経理部門の決算処理などは、専門知識や法的な知見も求められるため、事務だけではカバーしきれない場合があります。
株式会社フォリウムではバックオフィス業務のBPOサービスも行っています。
2. クラウド・AI・RPAで実現する戦略的バックオフィス最適化
●バックオフィス業務の最適化が企業にもたらすメリット
バックオフィスを最適化することで、企業には次のようなメリットが生まれます。
1)コスト削減
業務プロセスの無駄を洗い出して効率化すれば、人的コストやシステムの維持費などを削減できます。特に経理や総務など大量の書類を扱う部署では、ペーパーレス化や電子決裁システムの導入がコスト抑制に直結しやすいです。
2)業務効率の向上
定型作業を見直し、自動化ツールやクラウドサービスを導入することで、担当者の負担を軽減できます。その結果、単純作業に費やす時間を減らし、より付加価値の高い業務にリソースを割くことができるようになります。
3)専門性の活用
財務分析やデータサイエンスなど、専門性の高い知識を必要とする業務を最適化することで、戦略的な意思決定に活かしやすくなります。たとえばAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など最新のテクノロジーを導入することで、バックオフィス部門が「攻めの要」として企業を支える存在に変化するケースも増えています。
●最新のテクノロジーを活用したバックオフィス業務の効率化
バックオフィスの最適化においては、クラウドサービスやAI・RPAなどの自動化ツールの導入が大きなメリットをもたらします。
◆クラウド会計や給与計算システム
アクセス権限を設定することで、複数の担当者が同時に作業可能。データがリアルタイムに同期されるため、確認や承認フローがスムーズになる。
◆AIチャットボットや問い合わせ管理システム
社内からの問い合わせを一元管理し、簡易的な質問に自動で回答する仕組みを導入すれば、担当者の負荷軽減や回答の均質化が期待できる。
◆RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
データ入力や書類整理などの定型作業をロボットに任せることで、ヒューマンエラーを減らし、生産性を大幅に引き上げられる。
こうしたテクノロジーを適切に組み合わせると、単なる効率化にとどまらず、業務フロー全体の透明性・可視化も進むため、バックオフィスが企業の経営判断に貢献しやすい体制を築けるようになります。
>>株式会社フォリウムのRPAサービスについて知りたい方はこちら3. バックオフィス業務のBPO委託 ─そのメリットとデメリットを整理
ここまでご紹介した内容からは、バックオフィス業務のBPOサービス委託は多くの利点があり「良いことづくし」に思えるかもしれません。しかし、実際に導入を検討するにあたっては、メリットだけでなくデメリットについても知っておくことが大切です。ここであらためて、BPO委託のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
● バックオフィス業務をBPO委託することのメリット
1)コスト削減
外部に業務を委託することで、採用・教育コストを抑えながら専門知識を活用できます。システム導入や維持管理なども、BPO事業者がまとめて行う場合はコスト面の負担が軽減されます。
2)専門知識の活用
経理や人事など、法律や規程のアップデートが頻繁に行われる領域では、常に最新の情報・ノウハウを持つ外部の専門家が重宝されます。自社では蓄積しづらい専門性をすばやく取り入れられるのは大きな強みです。
3)リソースの最適配分
限られた人員をコア業務に集中させられるため、新規事業の立ち上げや重要施策の推進に注力しやすくなります。
● バックオフィス業務をBPO委託することのデメリット
1)業務コントロールの難しさ
業務を外部に委託することで、自社内で把握していたプロセス管理や細かな調整が難しくなる場合があります。委託先との連携ミスがあると、納期遅延や品質低下につながるリスクも。
2)セキュリティリスク
経理・人事業務など機密情報を扱う業務が多いバックオフィスでは、情報漏洩リスクの懸念は無視できません。BPOパートナーのセキュリティ体制や情報管理の徹底は、事前に十分な確認が必要です。
3)コミュニケーションの課題
自社と委託先との間で、業務に必要な連絡や情報共有がスムーズに行われないと、作業効率が下がるだけでなく認識相違が生じる可能性があります。定期的な報告会やミーティング設定など、運用面の工夫が必要です。
● 委託を成功させるためのポイント
•信頼できるパートナー選び
実績や専門領域、セキュリティ面などを総合的に判断し、自社が求める条件に合ったBPO事業者を探す。•明確な契約条件
業務範囲、品質、納期、責任分担などを契約段階で明確に定め、トラブルを防ぐ。•定期的なコミュニケーション
連絡担当者を決め、タスクの進捗や課題をタイムリーに共有することで、委託作業の品質を保ちやすくなる。4. 事務とバックオフィスの違いを踏まえた最適化戦略とその活用事例
企業の業務効率を高めるには、まず「事務」と「バックオフィス」の違いを正しく理解し、それぞれの役割を明確にしましょう。とくに成長フェーズにある企業では、業務の境界があいまいなまま運用されているケースも少なくありません。企業規模に応じた最適なバックオフィス体制の構築方法と、業務効率化のための実践的なアプローチについて紹介します。
● 企業の規模や業種に応じたバックオフィスの構築
スタートアップや中小企業では「事務=バックオフィス」として一括りにされることも少なくありません。しかし、企業が成長するにつれて、法務部門やIT管理部門、人事・総務など専門領域が細分化され、業務範囲は拡大します。早めに役割分担や業務フローを整備することで、スムーズな業務運営が期待できます。● 事務とバックオフィスの役割分担を明確にする方法
日常的な書類作成や対応業務は「事務担当」として切り分け、より専門性の高い領域は「バックオフィス担当」に集約するなど、まずは大まかな役割分担を行いましょう。その上で、システムの導入や業務プロセスの見直しを実施することで、効率化と品質確保を両立できる体制が整います。
ここまで、企業規模に応じたバックオフィス体制の構築や、「事務」と「バックオフィス」の役割分担について解説してきました。ただし、中には「知りたいのはもっと具体的な実行プロセスだ」という方もいるでしょう。
とはいえ、バックオフィスの最適化には企業ごとの事情や制約が大きく関わるため、汎用的な方法だけではうまくいかないケースがあります。だからこそ、BPO導入を検討する際には、企業の課題に合わせた丁寧なコンサルティングができる信頼性の高いパートナーを選ぶことが重要なのです。実際に導入時のコンサルティングにも注力している株式会社フォリウムのバックオフィス支援事例をご紹介します。
● 株式会社フォリウムのバックオフィス業務 支援事例
■太陽光エネルギー関連企業の場合
バックオフィス業務にかかる人材確保の難しさや高コスト体質といった課題を抱えていました。フォリウムは総務・経理の領域を中心に、段階的に業務を引き継ぎ、最終的にはほぼすべてのバックオフィス機能をアウトソース化。電話対応や出張手配、名刺作成といった総務業務から、請求書管理や仕訳作業などの経理業務まで幅広く対応し、月間約350時間に相当する業務工数の削減を実現しました。■データ解析関連企業の場合
外部委託者の退職により人事・労務部門の業務継続が危ぶまれる状況でした。同社では、勤怠管理や給与チェック、社会保険手続きの対応に加えて、社員台帳の整備や反社チェックといった業務までをフォリウムに委託。担当者との連携体制を構築しながら、月200時間分の工数削減に成功し、社内のコア業務への集中を可能にしました。
どちらの事例においても、単なる作業代行にとどまらず、業務の棚卸しや可視化、マニュアル整備などを含めた包括的な支援が特徴となっています。
事務とバックオフィス、それぞれの役割を見極め、戦略的に最適化していくことが、今後の企業成長には欠かせません。特に専門性の高いバックオフィス業務は、最適化によって生産性やコストに大きく影響します。BPOの活用により専門知識を取り込みつつ、リソースをコア業務に集中することも可能です。委託時には課題の整理と信頼できるパートナー選びが重要です。