人手不足でも成果を出す、マーケティングBPOの活用術

目次

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスといえば、バックオフィス業務やカスタマーサポートをイメージする方が多いかもしれません。しかし、現在は戦略的なマーケティング施策をアウトソーシングし、より効率的で効果的な顧客アプローチを実現する企業が増えています。「マーケティング施策を強化したいが、人手やノウハウが足りない」そのような企業は多いのではないでしょうか。マーケティング領域におけるBPO活用の増加傾向を解説するとともに、具体的な導入メリットや成功ポイントをご紹介します。

1:マーケティングにおけるBPO活用がなぜ増加しているのか?

●マーケティング領域にBPO活用が進む背景
BPOについて「人材不足や業務効率化の観点から導入するサービス」という印象を持っている方は多いかもしれません。確かにバックオフィスの定型業務を任せる事例は従来から存在します。しかし最近では、人手不足やデジタル化の波に加え、「自社コア業務に集中したい」「複雑化する顧客ニーズに対応するため、高度なマーケティングノウハウがほしい」などの理由で、マーケティング分野にBPOサービスを導入する企業が急増しています。

●企業がマーケティングBPOを選ぶ理由
1)人材確保が難しい専門領域への対応
たとえば顧客データ分析やSEO、SNS運用など、専門性が高い領域の人材を社内で抱え続けるのは容易ではありません。BPOを活用することで、このような高度な専門領域を素早く外部の専門家へ任せることができます。

2)効率的な施策運用とスピード感
キャンペーンの立案から実行・検証まで、マーケティングには多くの工程とスキルが求められます。BPOを利用すれば、必要な時期に必要なリソースを確保できるため、タイムリーに施策を展開しやすくなります。

3)デジタルマーケティングの拡大
デジタル技術が発展し、様々な施策を同時並行で回すことが当たり前になり、企業側の負担は増しています。BPOサービスなら、広告運用やWeb制作、SNS施策の効果測定などを一括委託できるため、内製化の負担を軽減しながら最新の手法を取り入れることが可能です。

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このような背景から「マーケティング戦略の全体を外部に委託したい」という需要が生まれており、国内外でマーケティングBPOが広く普及し始めています。

2:BPOとマーケティングの関係性と活用メリット

●BPOがマーケティングに与える影響
ここからは、BPOがマーケティングにもたらす具体的なメリットについて解説します。

1)マーケティングプロセスの効率化
マーケティング活動には、調査・企画・施策の実行・効果検証といった流れがあります。これらのプロセスを一部または全体的にアウトソーシングすることで、短期間で成果を出しやすくなり、リソースを戦略立案やクリエイティブ開発などのコア業務に集中できます。

2)データ分析の強化
近年は、顧客情報や行動履歴など大量のデータをもとに、きめ細かなマーケティング施策を打つことが求められます。BPO事業者には、データ解析やマーケティングオートメーションツールの運用に長けた専門家が在籍していることが多く、膨大なデータを分析して施策に反映する“データドリブンマーケティング”を促進しやすくなります。

3)コストの安定化
自社で専任チームを組成・維持する場合、スキルの習得やツール導入、教育などに多大なコストがかかります。BPO活用により、必要な期間・範囲だけ外部リソースを利用することで、予算管理がしやすくなる点も魅力です。

●BPOを活用したマーケティング戦略の具体例
自社のマーケティングにBPOサービスを取り入れた場合の活用例をご紹介します。

【活用例1】顧客サポートのアウトソーシング
顧客との接点となるコールセンターやオンラインチャット、SNSでの問い合わせ対応などを外部に任せるケースです。迅速で丁寧な応対を実現しながら、自社スタッフは新規顧客獲得や製品開発などに集中できるため、マーケティング全体の生産性が向上します。

【活用例2】デジタルマーケティングの最適化
リスティング広告やSNS広告の運用、コンテンツ制作、LP(ランディングページ)の改善など、デジタルマーケティングでは多岐にわたる専門スキルが必要です。これらをBPOで一括管理することで、広告効果の最適化を図りやすくなり、マーケティング施策を特定の担当者に依存せず、統一された戦略のもとで進めることができます。

【活用例3】イベントやキャンペーンの企画・運営
展示会やオンラインイベント、キャンペーン運営など、短期的にリソースを投入する場合にはBPOの柔軟性が役に立ちます。企画から集客、実施後のフォローアップまでアウトソーシングすることで、企業側はイベントの主要コンセプトや戦略設計に注力し、本来の目的達成に集中できます。

3:BPOサービスを活用したマーケティング戦略の構築法

●BPOマーケティング戦略構築のステップ
【ステップ1】 目標設定とKPIの定義
まずは自社が目指すゴールを明確にします。具体的には「認知度向上」「リード獲得数の増加」「既存顧客のロイヤルティ向上」などが挙げられます。その目標に基づいてKPI(主要指標)を設定します。

なお、KPIについては、企業それぞれの課題や状況によって様々な指標が考えられますが、ここでは一般的なマーケティングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に関連するKPIの種類を、いくつかご紹介します。

1.認知度向上に関するKPIの例
(1) インプレッション数
(2) ウェブサイトの訪問者数
(3) ブランド指名検索数

2.リード獲得数の増加に関するKPIの例
(1) リード獲得数(問い合わせ・資料請求)
(2) コンバージョン率(CVR: Conversion Rate)

3.既存顧客のロイヤルティ向上に関するKPIの例
(1) 顧客維持率(Retention Rate)

4.BPO活用に関するKPIの例
(1) コスト削減率
(2) 業務効率化率
(3) SLA(Service Level Agreement)達成率

これらのKPIを適切に設定し、定期的に計測・分析することで、BPOの効果測定やマーケティング施策の改善に役立ちます。

【ステップ2】 適切なBPOパートナーの選定
マーケティング領域におけるBPO事業者を選ぶ際には、以下の点をチェックするとよいでしょう。

●専門領域と実績:デジタル広告運用、CRM構築、コールセンター運営など、必要とする領域で豊富な実績があるか。
●データ保護やセキュリティ対策:マーケティングで扱う顧客情報は機密性が高いため、セキュリティ体制やリスク管理が徹底されているか。
●コンサルティング力:運用代行だけでなく、課題や業界トレンドを踏まえた改善提案をしてくれるか。
●コミュニケーションのスムーズさ:施策の進捗報告や指示のやり取りが円滑に行えるコミュニケーションフローを確立できるか。

【ステップ3】 コミュニケーション計画の策定
BPOを利用すると、社外・社内で連携すべき情報や、意思決定のタイミングが複雑になる場合があります。施策の進捗や効果測定の報告、問題発生時の対応フローなどを明確に定め、自社とBPO事業者の間で「いつ・誰が・何を共有すべきか」を整理しておきましょう。定期ミーティングやオンラインツールの活用など、両者のコミュニケーションを深められる仕組みを作ることが成功のカギです。

●3つのステップで導く成功事例
上記でご紹介した「BPOマーケティング戦略構築の3ステップ」を活用すると、どのような効果が生まれるのかを、架空の企業を例にして深ぼりしてみましょう。

【事例:ソフトウェア開発企業 ABCカンパニーのBPO活用例】

【背景】:BtoB向けのソフトウェア開発事業を行うABCカンパニーは、製品の優位性を正しく訴求できず、リード獲得が伸び悩んでいました。加えて、顧客サポート体制も十分ではなく、導入後のフォローアップが手薄になりがちでした。

【導入ステップ】:まず同社は目標を「見込み顧客との接触機会拡大」と定義し、顧客との長期的な関係構築を目指すためのKPIを設定しました。その上で、マーケティングBPOに強みを持つ外部パートナーと契約し、デジタル広告運用やメールマーケティング、サポート窓口の強化を一括して依頼しました。

【導入効果】:短期間でWebサイト経由の問い合わせ数が大幅に増加し、導入後のアフターサポート体制も整備されたことで、顧客満足度やリピート率が向上しました。同時に、「コミュニケーション体制の明確化」と「定期的なフィードバック」を徹底したことで、社内外の連携不足によるトラブルを未然に防ぎ、コストや工数の無駄を抑えることも可能にしています。

ご紹介したのは架空の企業の事例ですが、このように企業が自社の弱点を明確にし、それを埋める形でBPOサービスを活用できれば、スピーディに成果をあげやすくなります。特に、マーケティング領域は技術やトレンドの変化が速く、内製化だけではカバーしきれない面が多々あります。BPOをうまく活用することで、タイムリーかつ確実に最新のマーケティング手法を取り入れ、競合他社との差別化を図ることができます。

マーケティングにおけるBPOの活用は、単なる業務効率化やコスト削減の手段にとどまらず、企業の競争力を高める重要な戦略となりつつあります。特に、デジタルマーケティングや顧客サポートといった専門性の高い分野では、BPOの導入が迅速な施策展開やデータ活用の高度化を可能にし、企業の成長を後押しすることにもつながっています。

自社の課題を明確にし、適切なBPOパートナーを選定し、戦略的に活用することで、マーケティングの成果を最大化できます。市場の変化に適応しながら、BPOを活用した柔軟なマーケティング戦略を構築することで、企業にビジネスチャンスをもたらす契機にすることが可能です。

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